2001年に公開されたジブリ映画「千と千尋の神隠し」。
エンディングで千尋とハクは離れ離れになってしまいますが、その後どうなったのか様々な考察があります。
実際にハクや千尋のその後について、公式からはどのような回答になっているのでしょうか。
今回は、以下の内容を解説していきます。
目次
千尋と別れた後ハクのその後は?八つ裂きになった?
ハクは八つ裂きにされたといわれる理由
千尋とハクが別れた後、ハクは八つ裂きにされたのでは?との考察があります。
これは、ハクが湯婆婆に、
「千尋と千尋の家族を元の世界に戻してあげてください」
と伝えた後に、湯婆婆が
「八つ裂きにされてもいいんかい?」
と言われて、ハクがどのように答えたのか、映画では描写されていないため、八つ裂きにされたのではないか?という考察につながっています。
千と千尋の神隠しの世界にはルール・決まり・掟がある
ただ、湯婆婆の言葉だけで、八つ裂きにされるのでは?とはなりません。
ハクや湯婆婆たちのいる世界では、「決まり」や「ルール」が存在します。
物語の終盤でも、銭婆・湯婆婆・千尋がこのように話しています。
坊に「千を泣かしたら、ばあば嫌いになっちゃうからね」と言われても、湯婆婆でさえ、決まりをどうすることもできません。
なので、千尋を見送った後、湯婆々のところに戻れば、この世界の決まりから八つ裂きにされるのでは?という考察につながります。
本当にハクはその後八つ裂きにされた?公式の見解は?
まず、映画では八つ裂きにされるシーンは、一切存在しません。
八つ裂きにされたといわれるのは、あくまで考察や噂にすぎず、公式からもハクが八つ裂きにされたという見解などは、一切でていません。
また、八つ裂きにされたシーンのイラストや画像なども、公式からはでていません。
ただ、公開当時、公式のHPに以下の内容の記述があったという噂があります。
「すべてのことはルールに従わなければならない」という世界観により湯婆婆の言葉通り八つ裂きにされる運命をハクは受け入れている
現在、ジブリの公式HPにこのような記述はなく、公開当時の劇場用の公式HPもないため、本当にそのような記述があったのか調べることができません。
また、この言葉からわかるのは、実際にハクが運命を受け入れていることのみで、八つ裂きにされたという結論にはなっていません。
千尋とハクはその後再会できたのか?
千と千尋の神隠しでは、千尋とハクが別れてからの描写はありません。
映画の最後の別れのシーンでは、
千尋「またどこかで会える?」
ハク「うん、きっと」
千尋「きっと」
ハク「きっと。さぁ行きな、振り向かないで」
このような会話で終わっています。
では実際に、千尋とハクはその後再会できたのでしょうか。
ハクは八つ裂きにされずに、千尋に会いに行った可能性を考えていきます。
ハクは自分の名前を取り戻している
物語の序盤で、ハクは千尋に対して、
ハク「湯婆婆は相手の名を奪って支配するんだ」
ハク「名を奪われると、帰り道が分からなくなるんだよ。私はどうしても思い出せないんだ」
と話していましたが、本当の名前である「ニギハヤミコハクヌシ」を取り戻しています。
ハクは、自分の本当の名前を取り戻したことで
ことになるため、ハクは湯婆婆からの支配から解放されて、八つ裂きにされることもないと考えられます。
ハクは弟子をやめる・元の世界に戻ると話している
映画の最後、千尋と別れるシーンで、ハクは千尋に
ハク「私は湯婆婆と話をつけて弟子をやめる。平気さ、本当の名を取り戻したから。元の世界に私も戻るよ」
と話しているため、この後のハクの行動は
となる可能性が高いのではないでしょうか。
ジブリ公式Twitterでハクと千尋のその後の回答がある
2022年1月7日の金曜ロードショーで、千と千尋の神隠しが放送された際に、金曜ロードショーとスタジオジブリで「みんなの質問に答える」という企画がありました。
金曜ロードショーの放送時間内に、ジブリが公式Twitterで質問に回答してくれたのですが、その中に「ハクと千尋のその後」に関する質問と回答があります。
Q:千尋とハクはその後出会えたのでしょうか?
A:ハクは千尋が元住んでいた家の近くを流れる川の主でした。千尋がその川を訪れることがあれば……。
X JP_GHIBLI
千尋が、ハクと出会ったコハク川を訪れることがあれば…再会する可能性がある!ということでしょう。
ジブリ公式Twitterの回答なので、
と考えられます。
ただ、コハク川は既に「埋められちゃった」と千尋が話していたので、実際は川があった場所で…ということになりそうですね。
千と千尋の神隠しには幻のエンディングがある?
実は、千と千尋の神隠しには、このような都市伝説があります。
千と千尋の神隠しは映画上映当時、一部映画館のみで上映された「幻のエンディング」がある
このような都市伝説からも、千尋とハクのその後について、公式が描いているのでは?という噂が流れていました。
しかし、幻のエンディングについては、公式Twitterできっぱりと否定されています。
Q:『千と千尋の神隠し』には幻のその後の物語があり、一部映画館でのみ上映されたという噂がありますが本当ですか?それともただの都市伝説でしょうか。
A:都市伝説です。宮﨑さん「最初は千尋の家から始める予定だったんだよ。千尋の部屋が妖怪の通り道になっていて、お母さんと一緒に湯屋へいくって話。でもまどろっこしいからやめたんだよね。なのでそういう噂が流れているんだったら、面白いね!」
X JP_GHIBLI
実際に、一部映画館だけでその後の物語が上映されるなんて、あまり現実的ではないですよね。
また、DVDやブルーレイなどにも収録されていません。
しかし、そのような噂が流れるほど、映画のその後が気になっている人が多いという証拠かもしれません。
千と千尋の神隠しの最後の記憶や時間経過
千と千尋の神隠しの最後のシーン、映画を見ていると、不思議に思うことや、疑問に思う点がたくさんあります。
ここでは、千尋の最後のシーンについて、考察、公式Twitterなどの回答を紹介していきます。
千尋は帰りのトンネルを抜けた後の記憶がない?
千尋は両親と帰りのトンネルに入ると、行きの千尋の雰囲気に少し戻っているんですよね。
トンネルに入ることで、少しずつ記憶がなくなっているような描写にみえます。
そして、一瞬振り返りそうになるんですよね。
しかし、ハクに「決して振り向いちゃいけないよ」と言われた言葉を思い出したのか、振り返りそうになるのを思いとどまっています。
銭婆も「一度あったことは忘れないものさ、思い出せないだけで」と言っており、トンネルを抜けた後も、銭婆から貰った髪飾りは千尋の髪にあります。
髪飾りが消えていないのは、魔法で作ったものではなく、「みんなで紡いだ糸を編み込んであるから」かと。
なので、
映画でも、ハクとずっと前に会ったことも、ちゃんと思い出すことができています。
元の世界に戻って、すぐに思い出すことはできないけど、髪飾りをきっかけに思い出すかもしれない。
思い出したときに、コハク川に行って、ハクと再開する…ととても素敵ですね。
千尋が振り向いていたらどうなっていた?
逆にもし千尋が振り向いていたらどうなっていたのか…
「振り向くとトンネル付近にあったダルマのような石像になる」という都市伝説があるようです。
実際にトンネルの入り口には、意味深にだるまの石像が置かれてありましたよね。
なぜか笑っていますし。
このダルマについても、公式からこのような回答があります。
Q:トンネルの前にあった不思議なダルマのような岩にはどのような意味があるのですか?
A:イメージボードには「石人(実は蛙人)」と書いてあります…。
X JP_GHIBLI
湯屋の従業員は、男性は全員「蛙男」となっています。
実は蛙人、ということは、これは湯屋の従業員だったのかも?しれません。
一説では神々の世界は死後の世界であり、トンネルは現実世界と繋がっている。
振り向くと、死んでしまうという話もあるようです。
実際に振り向いたら、石像になるかはわかりませんが、
というのは、ほぼ間違いないと思っています。
ハクの「決して振り向いちゃいけないよ」というのは、振り向いたら元の世界に戻れないから、と伝えているのかもしれませんね。
千尋達はどのくらい湯屋の世界にいた?
映画の最後、千尋たち家族が車に戻ると、草は生い茂り、車の中もほこりだらけになっていました。
時間の経過を感じさせる場面ですが、実際には千尋たちがいた時間については、公式Twitterで回答されています。
Q:千尋が不思議の街に迷い込み、湯屋で働き、トンネルを出るというのは何日くらいの出来事だったのでしょうか?
A:鈴木さんは、三日説を唱えています。 お父さんとお母さんが、何事もなかったように車に乗り込む時、車の中は埃だらけになっていますので、トンネルのあちらとこちらでは、時間の経過が違うのかもしれませんね。
X JP_GHIBLI
湯屋の世界にいたのは、三日くらいの出来事になります。
映画の場面を見ても、一晩油屋で寝ている、その後銭婆に会いに行き、ハクが迎えにきて日が昇る。
二回夜が来ているので、三日間の出来事だと考察できます。
元の世界と湯屋の世界は時間経過が違うようなので、元の世界の時間は三日以上経過している可能性が高いです。
草やほこりの多さ、車に戻った時エンジンはかかっていることを考えると、元の世界では1か月近く経過しているのかもしれません。
千尋が通るトンネルは行きと帰りが違う?
千尋が通るトンネルですが、
- 行きは赤いトンネル
- 帰りは石造りのトンネル
全く違うトンネルになっているように見えます。
また、トンネル付近にあるダルマのような石像も、行きは顔がありましたが、帰りは顔がありません。
トンネルが違う理由は、公式Twitterで回答があります。
Q:トンネルが行きと帰りで違うのはどうしてですか?
A:美術スタッフの吉田昇さんに聞いてみたところ、「時間の経過によるためです」と答えてくれました。と……いうことは「三日説」は崩れる……?
X JP_GHIBLI
なんと、時間の経過で、赤いトンネルが赤くなくなっている、とのことです。
ということは、目の前にあった石像も、時間経過によって顔がなくなっている、ということになります。
千尋たち家族が、湯屋の世界にいたのは、一体どのくらいの時間だったのか…
本当は、かなりの時間が経過しているのかもしれませんね。
最後に千尋の髪飾りが光った理由は?
映画のラストのシーンで、千尋の髪飾りが「キラッ」と光るシーンがあります。
実は、千尋の髪飾りが光るシーンは、終盤に2回でてきます。
- 1回目:トンネルを通る前、振り返りそうになった時
- 2回目:トンネルを通り、元の世界に戻った時
1回目は、トンネルを通る前に、一瞬千尋が振り返りそうになる時です。
2回目は、トンネルを通り終えて、元の世界に戻った後、トンネルのほうを振り返った時です。
最後に千尋の髪飾りが光った理由については、公式Twitterで回答があります。
Q:最後で千尋の髪飾りがきらりと光るのは何か理由があるのでしょうか?
A:あの髪飾りが湯屋で千尋が働いたという唯一の証です。 それを印象づけるための演出だといえるのではないでしょうか
X JP_GHIBLI
宮崎速雄監督も、以下のように言っています。
あの世界が全部夢だったという風にしたくなかった。
なので、髪飾りが光った理由は
千尋は、トンネルを通り元の世界に戻ってきて、湯屋の世界のことを思い出せなくなっている可能性が高いです。
しかし、思い出せないだけで、夢じゃなく本当にあった出来事だったことを示すために、髪飾りは光ったのではないでしょうか。
千と千尋の神隠しのモデルになった温泉や旅館
千と千尋の神隠しの世界に登場する、湯屋「油屋」。
最初に千尋が訪れた時は、お昼だったのでとても静かな建物でした。
建物の色は朱色、瓦屋根は緑色、手前には松の木があり、赤い橋もあります。
湯屋の世界の設定については、ジブリ公式Twitterでも回答がありました。
Q:湯屋の世界は大体今から何年前の設定なんですか?
A:幕末から明治時代初期に流行した「疑洋風」の建物がモデルとなっていますので、それ以降という解釈はできますね。 実際のモデルは、スタジオジブリです。ジブリで働くには最上階にいる鈴木さんのところに行って「働かせてください」と言わなければなりません(笑
X JP_GHIBLI
建物は、幕末から明治初期の「擬洋風建築」がモデルとなっているんですね。
日本各地にも、擬洋風建築が現存する建物が残っています。
ホテルや旅館だと、箱根の「富士屋ホテル本館」や伊豆の「新井旅館青州楼」などは、国の登録有形文化財に認定されています。
湯屋の世界の実際のモデルは、「スタジオジブリ」とのことなので、しっかり働かなければいけないようですね。
ここからは、千と千尋の神隠しのモデルになった、温泉や旅館をご紹介します。
油屋のモデル【道後温泉本館】
宮崎駿監督が、参考にしたと明言されているのが、愛媛県松山市にある「道後温泉本館」です。
道後温泉の看板がある丸みを帯びた形の屋根は、「油屋」の中央の屋根とよく似ています。
実際に製作スタッフが、道後温泉本館に滞在した記録もあるそうです。
道後温泉本館は、日本三古湯の一つで、「日本書紀」にも登場する最古の温泉。
こちらは日帰り温泉施設のため、宿泊することはできませんが、是非日本最古の温泉につかってみたいですね。
油屋のモデル【江戸東京たてもの園・子宝湯】
東京小金井市にある、「江戸東京たてもの園」の中にある「子宝湯」も、公式のモデルと明言されています。
こちらも、木造による重厚な構造や、屋根の部分など似ているところがありますね。
子宝湯は、中に入って見学することもでき、中は一般的な銭湯と同じく、男湯と女湯にわかれています。
もちろん現在は銭湯として使用されていないので、どちらも見学可能です。
また、風呂の壁に富士山が描かれており、昭和の銭湯を感じることができます。
渋温泉【歴史の宿金具屋】
「油屋」モデルになったのでは?と噂されたのが、長野県渋温泉の旅館「歴史の宿金具屋」。
夜のきらびやかな雰囲気と、木造4階建ての構造が、「油屋」にとても似ています。
金具屋の「木造四階建 金具屋斉月楼」と「木造大宴会場 具屋大広間」は、国の登録有形文化財に認定されています。
宿泊すると、文化財巡りの案内に参加することもできます。
四万温泉【積善館】
「油屋」のイメージモデルの一つと言われているのが、群馬県四万温泉の「積善館」です。
積善館本館の前にある赤い橋は「慶雲橋」といい、油屋の前にある赤い橋と似ていますね。
また、積善館の館内の通路が、映画序盤で千尋と千尋の家族が通るトンネルに、よく似ていると言われています。
油屋内部のモデル【ホテル雅叙園東京】
「油屋」の内部のモデルとなったと公式が名言しているのが、東京都目黒区にある「ホテル雅叙園東京」です。
公開当時は、「目黒雅叙園」という名前でしたが、現在は「ホテル雅叙園東京」に変更されています。
宴会場のモデルといわれている広場や、東京都指定有形文化財の「百段階段」など、油屋の内部に似ている部分がいろいろあります。
油屋薬草棚のモデル【江戸東京たてもの園・武居三省堂】
釜爺の仕事場である、油屋のボイラー室。
このボイラー室の壁一面にあった薬草棚のモデルといわれているのが、江戸東京たてもの園の「武居三省堂」の棚です。
たくさんの棚の引き出しが、釜爺の薬草箱の引き出しそのもの!
明治初期は文具店を営んでおり、筆や墨などの書道用品を卸していたそうです。
当時は、薬草ではなく、筆などの商品が入っていたのでしょうね。
江戸東京たてもの園は、「武居三省堂」だけでなく、油屋のモデルとなっている「子宝湯」もあります。
他にも、歴史的な建物が数多く移築されているので、是非一度足を運んでみるとよいですよ。
千と千尋の神隠し街並みのモデル【台湾・九份】
赤い提灯が街中に並び、千と千尋の神隠しの街並みと雰囲気が似ているのが、台湾の「九份」です。
夕方から夜にかけては、提灯の光に包まれて幻想的な街並みがみれるので、観光客からも人気が高い場所です。
建物のお茶屋「阿妹茶酒館」では、お茶屋やお菓子を楽しむことができ、窓際の席からは九分の景色を堪能できます。
しかし、こちらはモデルになったと噂があるだけで、公式ではモデルになったとの話はありません。
宮崎駿監督も「海外の特定の町はモデルにしていない」と話しているので、あくまでも雰囲気が似ているだけのようです。
街並みの飲食店街については、「新橋の鳥森口や有楽町のガード下の歓楽街を想起しながら、不思議の町の飲食店街の造形をした」と公式からでています。
ジブリ公式からモデルとなったと明言されている場所から、モデルでは?と噂されている場所まで、素敵なところばかりなので、一度は訪れてみたいですね。
千と千尋の神隠しハクのその後の公式回答は?【まとめ】
千尋とハクのその後の公式回答については、
ハクは千尋が元住んでいた家の近くを流れる川の主でした。千尋がその川を訪れることがあれば……
と、ハクと千尋が会える可能性について、含みを持たせています。
ハクが八つ裂きになったという噂も、公式の回答を見る限りでは、ない可能性が高いです。
まとめ
- ハクは八つ裂きにされていない
- ハクは自分の名前を取り戻し、弟子をやめた
- ハクは帰り道を思い出し、元の世界に戻った
- ハクはコハク川で千尋を待っている
その後については、公式Twitterの回答と照らし合わせての考察になりますが、実際に千尋とハクが会える未来を夢みたいですね。